各チームの大小様々なやっていることを共有する会をやったら予想外に盛り上がった話

前職で掲題のような取り組みを提案して始めてみたら予想以上に盛り上がったので書いておく。かなり低コストに始められるので以下に書くような課題感を持つところではおすすめできると思う。

どんな会か

会の名前は「今月のホットトピックス」と銘打った。

前職では毎週木曜日に社内勉強会が開催されており、月始めの枠の一部を借りて30分程度から始めた。
refs. 寿司と勉強会とエンジニア - Hatena Developer Blog

  • 最近チームでやったことの書き出し
  • 聞いてくれ・聞きたいの投票
  • 司会による紹介

……からなる。

まず書き出しは、ナレッジツール (Scrapbox) におもむろに「2020/8 ホットトピックス」というページを作り、各チームやその他有志といった見出しを置いておく。
このライブラリをアップデートしたとか、バグ報告をしたとか、大小いろいろな情報を書いてくれる。

並行して、ページに箇条書きされた各チームの取り組みに「聞いてくれ」(自己申告)「聞きたい」(他薦) を各々投票してもらう。仕組みは素朴が箇条書きの項目に自分のアイコンを置いておくだけ。
Scrapboxを使っているので C-i を押すだけで投票できる。
その他のツールでも単に + を書くとかでもできそう。

最後に司会は当日、画面を共有しながらページを眺めて注目が集まっている項目を中心に書いた人へ話を振ったりして話を掘り下げる。
特に表彰とかはせずに他のチームや人がやったことを知ってもらう体験を持ち帰ってもらうという形式。

そもそもなぜやろうとしたか

当時、社内勉強会はかれこれ5年近く続いていたし、コロナ禍による縮小が起きる前までは外のカンファレンスや勉強会での発表もそこそこ活発であったものの、社内での横の繋がりが薄まり「何をやっているのかわからない」「やってから実は似たような知見が他のチームにあることを知った」という声がちょくちょくあがっていた。
知識共有のドーナツ化現象とでも言うべき状態。

社内勉強会が続いていたのになぜ? というと盛り上がりすぎた結果:

  • 発表が先鋭化し敷居が上がった
  • 盛り上がりすぎて枠の競争率が高まった

……ということが起きていたと思う。こういうステージに移行するくらい盛り上がっていたのは本当にすごいので嬉しい悲鳴ではあった。

予想外だったこと

  • 初回から書き込みが盛り上がったこと
  • 司会はけっこう大変

初回からたくさん集まったのは嬉しいことで、最初は自分のチームとかからとにかく書いてもらわないといけないだろうなーと覚悟していたのでありがたい。
一応、敷居を下げようと思って最初のほうに自ら小さなことばかり書いたりといった工作はしたけれど、それにしたって盛り上がった。

これは、運営からなにか働きかけをした結果というより、メンバーに書きたい話題があった・そもそも共有するのが好き、といったことによるものだと思う。

逆に盛り上がりすぎた結果、司会はたくさんあるトピックから苦渋の思いで選り抜いて話さないといけなくて大変。これについては後述する。
司会役は当初自分ひとりでやっていたけれど、大変になったこととか自分の退職が進んでいたことから他のメンバーも巻き込みはじめた。

予想通りだったこと

ページの更新通知がSlackに流れれば催促しなくて済むだろうということは予想していて、実際にその通りになった。
refs. Slackに更新を通知する - Scrapbox ヘルプ

エンジニア全体で共有するScrapboxのプロジェクトと全員が入るSlackチャンネルがあるので、通知をそこに流した。一応、あまりに集まりが悪かったらチームのリーダーをけしかけますよという断りは入れていたものの、そうなったことは一度もなかった。
共有する会が近付くになれ「おっ 書いてるな」という盛り上がりが出てくるので連られてみんな書き出すということが起きていた。

寂れている場所へ書いてくれってお願いしてまわるのもお互いに気まずいのでこうならなかったのはありがたい。

司会の心掛け

自分は主にWebアプリケーションエンジニアで知識も当然そっちのほうに偏っている。会社の構成比率的にもエンジニアの中でWebアプリケーションエンジニアが多数を占めている。
一方で絶対数は少ないもののスマートフォンアプリエンジニアやデータ活用に強いエンジニアもいて、それぞれの専門性を活かしておもしろいことをやっているのでそういうのもちゃんと掬い上げたい。
単純にせっかくロールや専門性が混ざって集まるカオスな場だからそれを楽しんでほしくて「ここは自分の場じゃないな」って思う人をできるだけ減らしたい。

とはいっても数が少ない職種のやっていることを単純な多数決でピックアップするのは難しい。
なので共有する会で取り上げる話題は「聞きたい」「話したい」という声があるものを優先するが司会の独断で決めるということにさせてもらった。

自分の中での優先順位は「話したいこと」>「『聞きたい』が集まっているが直近で触れられていない分野のこと」>「その他の『聞きたい』が集まっていること」>「『聞きたい』はほとんど集まっていないが個人的に気になること」くらいにしていた。

もうひとつは敷居を上げない圧力をかけること。

そもそものきっかけが「技術勉強会で発表してみたいけれどどれも力の入った資料や調査が伴っているので自分がやるのは大変」「技術勉強会で発表するほど大したことじゃないし」といった声に対するカウンターアクションなので、この会で話したり取り上げてもらう敷居が上がるのは本末転倒である。

司会・主催としては:

  • 話すのは最大5分、下限なしをしつこくアピール
  • 資料なしでOK, むしろ推奨くらいの勢い

……を打ち出した。

そもそも盛り上がって枠内に収まるかどうかという状態でもあったので、あまり気合の入った発表になってしまうと数を増やせないという事情もあった。

結論

特別なツールとかを必要とせずうまく主催が立ち回るところから始められるのでおすすめです。

しかし周りの乗っていきに助けられてうまく滑り出したという側面が強いのでこういったことで躓く、といった情報がもらえるとありがたい。