2015
2015-01-01から1年間の記事一覧 - Sexually Knowing
「安全にソフトウェアをつくる」ことが大きな関心であり、そのために CI (Jenkins) をよりディープに使おうとしたり、Ansible や Homebrew を活用していわゆる Configuration Management を進めた。
そのおかげで Ansible はかなり手に馴染んできた。実際に仕事にも活かせる場面が出てくるほどに。
APISchema
APISchema を使っているのでいくらか P-R を送った。
参考: DSLでAPIを書きたい!!APISchemaでらくらくAPI生活をはじめよう - hitode909の日記
YAPC
#yapcasia で『世界展開する大規模ウェブサービスのデプロイを支える技術』という発表をした - Sexually Knowing
また今年の YAPC::Asia 2015 Tokyo で2度目のトークの機会をいただけた。
世界展開する大規模ウェブサービスのデプロイを支える技術 / YAPC::Asia Tokyo 2015 // Speaker Deck
このトークで紹介した tarball を配るデプロイは他のチームでも一部導入を進めつつあり、そのうちいくらかコミットしている。
ごく個人的な感想として、こうしたカンファレンスでの発表をきっかけに開発を始めたりあるいは進めたり (= 発表ドリブン) することが多かったけれども、今回はまずある程度の形をなした成果があって、それをベースにして発表を組み立てる、という経験は初めてのことだった。
おかげで発表の内容を深めたり、そのために必要なベンチマークをとったりするなど充実した準備をした上で発表に臨むことができた。
(もっとも、いままでがリラックスしすぎていた、ということはあるかもしれない)
DDD
輪講で『実践ドメイン駆動設計』を読むことになって、『エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計』を復習しつつ、DDD を実際に導入していくにはどうしたらいいんだろうね、ということを議論した。
輪講の場で実際のサービスの境界づけられたコンテキストやユビキタス言語を見出したり、実はあのシステムはここでいうイベントソーシングだったんだといった発見が得られたり、非常に実践的な知識が培われたと思う。
特に、実際のサービスのドメインモデルやアーキテクチャを再訪し省みるという試みはまさしく「実践」であり、我々が作ろうとしているものに DDD (あるいは別のやりかた) が適しているだろうか、適しているとしたらなぜなのか、といった深い検討を進められた。
犠牲的アーキテクチャのようなソフトウェアに寿命があるものと考えるある種の悲観的な見方もあるが、寿命を迎えたソフトウェアをただ塵に還すのか、なにか洞察を持ち帰るのかは、こういった試みの有る無しによるのだと思う。
参考: はてな社内で開催したDDD勉強会の様子をご紹介します - Hatena Developer Blog
実践ドメイン駆動設計 (Object Oriented SELECTION)
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エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計 (IT Architects’Archive ソフトウェア開発の実践)
- 作者: エリック・エヴァンス,今関剛,和智右桂,牧野祐子
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Haskell
『すごい Haskell 楽しく学ぼう!』を買って読んだ。断片的な知識しか身に付いていなかった Haskell について、ざっくばらんでもまとまった基礎的な知識を得られた。
Functor, Applicative Functor, Monad, Monoid, その他波及して、MonadPlus, Semigroup などについて (不完全あるいは不正確かもしれないが) ひととおり基礎的な背景知識が得られた。
新しいプログラミング言語を学ぶとき、新しい考え方を得て他の言語と比較し相対化するということに最も価値を感じており、たとえば Haskell ではいまのところ型クラスと Functor や Monad といった素朴ながら強力な抽象化のツールキットたちが大きな収穫となっている。
Haskell の型クラスは静的型付けと実装に対して開かれた抽象を実現する仕組みでとてもおもしろいし強力さを既に感じている。
自分は Ruby がけっこう好きで、その最も大きな理由としてオープンクラスを挙げるだろう。それと同等かそれ以上に強力な仕組みをコンパイル時に型検査が行われるという堅牢性と両立できているのは、よく考えられているなあ、と感動する。
Functor や Monad といったある種の計算に共通する属性を抽象化する型クラスたちに対する背景知識を得て、なるほどたしかに強力だと感じた。 現実の複雑な問題を解決するのに十分な力が、素朴なモデルに備わっているのはかっこいい。
おもしろかったので TypeScript の Generics や Abstract class の勉強がてら Maybe や State などの Monad を実装してみたり、Perl の Data::Monad というモジュールに Data::Monad::Either の実装を追加したりなど、それなりに実りもあった。
それに伴って Haskell の base パッケージや scalaz のコードを読んだ。 scalaz のコードリーディングは楽しくて、パターンマッチングのような言語の子細な仕様の違いから、型クラスの実現方法の違いなど、大小様々な差異が見取れて Scala の implicit conversion まわりについても少し理解が進んだ。
また、『すごい Haskell』本を読んで高まり、もっと足元を固めたいと思ってウィッシュリストに入れた『やさしく学べる離散数学』を hitode909 さんから贈っていただいて練習問題をやりつつ読み終えた。
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TypeScript, ES2015
変化の激しいフロントエンド界隈において落ち着きを見せはじめた ES2015 や TypeScript に触れはじめておもちゃを作ってみたり 本番投入を見据えたサービスで TypeScript を使いはじめたり、NPM モジュールを書いて公開するなどした。
あと redux と Electron のチュートリアルをやった。
2016
2015年はインプットが進んだ一年だった。次の1年、あるいはその先をどうするか。おおまかには:
- 基礎的な知識の習得
- 数学
- 計算機科学
- UNIX 哲学を体現したソフトウェア的アウトプット
……を考えている。
基礎的な知識の習得
高等教育をろくに受けておらず、特に数学や計算機科学はかなり怪しい。
とはいえ、そういった問題意識がありつつも、いまはシンプルにここらへんについてもっと知ることができたら楽しくなりそうだな、という好奇心のほうが強い。
おもしろそうなことを知りたい、という以上の理由はいらなさそうだし、結果的に仕事や趣味に役立ったらお得だな、という気持ち。
UNIX 哲学を体現したソフトウェア的アウトプット
- UNIX 哲学の体現
- ソフトウェア
- アウトプット
……という3つの小テーマがある。
UNIX 哲学の体現とは、『すごい Haskell』本で学んだ Monad など現実の問題に対処できる力を持った強力ながらシンプルなモデルが組み合わされて複雑な問題に立ち向かうことができればきっとうまくいくだろう、ということ。 つまり巨人 *1 の肩に乗るのが一番だということ。
アウトプットは文字通りで、1年間インプットしたわりに仕事のドメインに閉じがちなアウトプットだったので、もう少しオープンなものにしたい。 UNIX 哲学の体現とも関わりがあって、つまりいくつかのモジュールをプラガブルに組み立てて問題を解決したならばドメインロジックではない部分を分けられるはず。
ソフトウェア的としたのは、カンファレンスにおける発表を目標に据えるとしても、まずソフトウェアエンジニアとして問題を解決した・するという成果がなければだめで、自分にとって手近かつイメージしやすい成果とはつまりソフトウェア、それも OSS をつくることだろう、というところによる。
具体的なイメージとしては @substack 氏かもしれない。