新しい職場で半年経った

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決め手

転職先を決めるにあたって一緒に働くメンバーから刺激をもらえそうかを一番重視した。
これは抜きん出たタレントを持っているとか輝かしい経歴を持っているかとかではなく:

  • 知的好奇心を持っているか
  • それがよく表出しているか (= アウトプットされているか)

……ということを重視している。

転職ドラフトに参加したり、いろいろな企業を見る中でbuildersconなどのカンファレンスで顔を合わせて話すことがあったid:nkgt_chkonkさんやid:lacolacoさんが所属していることを思い出した。

所属がはっきりしているメンバーで事前に認知していたこの2人がいたので、先に述べたような資質を引き出す働きかけは頑張れそうかなと思えたのが決め手になった。

いろいろ考えたけれど初めての転職だし、うまくいかなかったとしてもこの2人と働いた経験が短くとも得られたら元は取れるかなと思えた、という防衛的な見方もある。

やっていること・やりたいこと

基盤バックエンドチームというサーバサイドのソフトウェア技術的な困り事全般をなんとかするチームにいる。
……はずなのだけれど、もはや「サーバサイド」「ソフトウェア技術的」という但し書きすら怪しくなるくらい様々なことに手が出せているのでざっくりソルジャー上がりのなんでも屋って思っている。

この基盤チームやプロダクトチームなどの現在の組織に関する情報の一端はセキュリティインシデントと大規模障害を経てClassiは開発組織をどう変化させたのか - Classi開発者ブログに書いてもらえた。

チーム・機能横断の基盤システムの設計と開発

dron: クラウドネイティブなcron代替の紹介 - Classi開発者ブログ

(自分にとっての) 本業というかんじ。得意かつ求められているかつ好きなこと。

今のところうまくいっているけれどドメイン知識がまだまだ足りていないなーと感じている。ので後述するようにプロダクトチームに出向しはじめた。

開発者ブログの編集長業

決め手でも述べたように好奇心とその表出が強い人間が好きで、そういう人間が集まっていると自然とブログを書いたりといった活動が生まれると信じている。
Classiは2020年4月に高負荷インシデントが起きたりなどの事情があってアウトプットがすっかり止まってしまっており寂しかった。

一方で社内のesaには日々のサービス開発・運用で発見したことが想像以上に活発に投稿されていて、アウトプット自体はあったのは嬉しい誤算だった。
単に対外的に出していないだけでアウトプットに対する感度は決して低くなかった。

とはいってもこのままだと進展しないのも確かなので「復興させたいです」と手をあげていろいろやらせてもらった。

  • 編集部の立ち上げ
  • 公開スケジュールの段取り
  • ブロガーのスカウト

……など。

編集部は自分とVPoEでミニマルに立ち上げて今は3人体制。まず開発者ブログをどう位置付けるのかということを表明し、興味を持っている人やステークホルダーに判断しやすい環境を整えた。
向こう1〜2年のあいだは執筆者が不特定多数の社外の読者に自分たちの取り組みを過不足なく理解してもらうだけのアウトプットをするスキルを養うことを目的としその場として開発者ブログを整えるということにした。
採用や広報のツールとして活用するという視点は、少なくとも現時点では時期尚早かつ高度すぎるのでうまくいかないだろうと思ったのでスコープから外すようステートメントに盛り込んだ。なのでPVやSNSでの反響は主要なKPIとして見ないことにしている。

プロダクトチームに出向しての草の根活動

テックリードの相談相手になったり外様として「この会議の位置付けってどういうかんじでしたっけ」みたいなことを言ったり改善の意見を出したり、もちろん一緒にちょっとしたタスクをやったりといった本当に様々なことをやっている。

これは自分がプロダクト領域の知識を付けるという意味もあるし、いろんな環境・状況での開発経験がちょっとある人間としてチームに新しい視点をもたらすという意味もある。

11月くらいから始まって評価は上々っぽいけれど塩梅がむずかしいな〜と日々悩んでいる。自分がしゃしゃり出て改善できたとしても、きっとそれはチームの糧にならないだろうし、そもそもチームの状況・事情を咀嚼しなければ「正しいだけの正論」になるだろうし。
かといってチームに悪い意味で馴染みすぎたら役割を果たせないし、というかんじでとても難しい!
が、少なくとも自分はプロダクトの知識や事情のキャッチアップが進んでいるので成果は大きいと感じる。

自分の働きが効果を発揮できているかは、おそらく自分が出向をやめたあとでしか評価できないので今はあれこれ模索中。

事前の印象と変わらないところ・異なったところ

相対的に見て前職と比べて所属を明らかにしてオープンな活動をしている人は少なかったので印象らしい印象はそんなに強いものはなかったけれど、面接などを通して文化的背景がさほど遠くないと感じ、それは今も変わらない。なんというか落ち着きがあると思う。

印象的なのは社内外で開発組織のマネージャーやリーダー経験のある人が多いので、自分のようにマネジメント・メンタリングが得意じゃない人間でもそういう仕事をやっていてささいなアドバイスをもらえて孤独感を感じにくいし、リーダー・マネージャーポジション以外にそういう背景・キャリアの人がいるのは層が厚くて良いところ。

ギャップを感じているというほどではないけれど、プロダクトチーム制への変化はけっこうドラスティックで無理が生じているところも見え隠れしている。
まあこういうのはビッグイベントの当事者でなかった自分のようにMPを消耗させた経験のない人間がサポートしていくのが良いんだろうなと思うので、しばらくそこらへんを頑張りたい。